会社の有給休暇について

年次有給休暇の取得率が低い日本では、自ら有給休暇の取得を希望しづらい雰囲気が会社内で存在している。中には有給休暇の取得を上司に申し出ても認められずに、毎年溜まった有給休暇が消滅時効にかかって無駄になってしまっている状況の会社すらある。そこで、少なくとも年間5日以上は会社側から時期を指定して有給休暇を取得させることにし、有給休暇の消化率を高めることを法整備した。

しかし、会社側から有給休暇取得時期を指定されてしまうと、自分で有給休暇を取りたい日に使えなくなってしまうと考えがちである。そこで、実際の運用では事前に労働者に対して有給休暇取得希望日をヒアリングした上で指定するといった方法が採用されている状況だ。多くの労働者が同じ時期に有給休暇を一斉取得したいと希望が出た場合には、会社側で事前に時季変更権を行使して調整を行うことで労働者側からの不満を抑制可能である。

一方、工場に関しては会社カレンダー内に年次有給休暇を全社員一斉取得する前提で予定が組まれていることがある。24時間稼働の工場では計画的な生産停止を行えないため、シフト勤務のバランスを考慮して計画的な有給休暇取得を会社主導で行う。年間5日以上の有給休暇取得を義務化したことで、少なくとも労働者側が会社と有給休暇取得希望時期に関する話を行えるタイミングを毎年作ることができる。こうして、工場の生産に影響を与えないように注意しつつ有給休暇制度をバランスよく取得できる体制整備を作るキッカケを年間5日以上の有給休暇取得義務化が果たしたことになる。